日本が誇るエアータイトの300Bシングルアンプです。アメリカからの要請もあり、製品化したとのこと。 AIR TIGHT(エアー・タイト)はラックスから独立した営業の三浦篤氏と設計部の石黒正美氏が1986年に設立。 プリント基盤を使用せず、高品位パーツの手配線を貫き通した製品群はさすがです。 日本ではあまり有名ではないのですが、このメーカーのアンプは海外では評判で、徐々に国内でも 認められつつあります。 私はこのATM300を使ってみて、驚きを禁じ得ません。 どうして元がラックスのメーカーから、こんな雄大で力強い低域が聴けるのか、そしてジャズの 見事なスィング感といい、ストレートで分厚い中低域といい、不思議でなりません。 ATM300は片チャンネル8Wですからあまり出力は大したことないのですが、スピーカーに例えば 我が家の様にアルテックの604-8Kなどを使うと、俄然、威力を発揮します。 CDプレーヤーがSTUDER D730との組み合わせの音は、パラゴンユーザーが「もう一度、出直して 来ますわ」と深々と頭を下げてお帰りになったほど。 私もあそこまで鳴りっぷりが良いとは思いませんでした。改めて日本の真空管アンプのレヴェルの 高さに脱帽した次第です。 ちなみにATM300はダンピングファクターを調節することが出来ます。 1)NFB 0dB:ダンピングファクター2.6(実測では3.12) 音が華麗に聴こえる。低域が伸びやか。しかし音場がつぶれてしまって、平べったい印象。 ゲインは最も高く、29.9dB。 2)NFB 4dB:ダンピングファクター4.5 音像がクッキリ浮き上がってきて、低域の締まりが明らかに改善。音の分離も良くなり、 楽器などの質感の違いがわかるようになってくる。 3)NFB 6dB:ダンピングファクター6.4 音の余韻が少なくなり、低域がちょっと寸詰まりの様になってくる。音の分離は良いのだが、 タンパクになってきた印象がある。 てことで、私は2)で使用しています。 初段には双三極管12AU7をパラレル接続、ドライバー段も双三極管12BH7Aをパラレル接続、出力段 はWE製300Bシングルという構成。出力トランスはタムラ製F2007。整流感は5U4G。300Bは 直流点火、電圧増幅段はAC点火。ボリュームは27角100KΩAカーブ。抵抗は理研RMカーボン。 300Bカソード抵抗はデール製メタルクラッド、フィルム・コンデンサーの一部とケミカルコンデンサー にはスプラーグ社製オレンジ・ドロップやATOMなどの高品位パーツを使用。 残留ノイズは3mV、入力インピーダンス79.6KΩ。周波数特性10〜47 kHz(-3dB)。 ※画像をクリックすると、大きく見ることが出来ます。 |
正面像です。奥に整流管が見えます。 |
斜め上からのビューです。真ん中のボリュームみたいのは、NFB調節スイッチです。 これによってダンピングファクターを調節することが出来ます。 |
真上からのビューです。 |
背面像です。端子類は上に集められているのがミソです。太いケーブルも入れやすいターミナル。 |
鏡面仕上げの銅板。インシュレーターはなんと5カ所付いています。 |