拙宅にEAR V12がやって来ました。 これ、試聴機ではなく、発作が起きて、購入してしまったシロモノです。 入力はRCAアンバランス入力が系統5。今やほとんど使わなくなってしまったTAPE OUTもあります。 使用真空管はECC88(12AX7) 10本、EL84 12本。 入力段にECC88を片チャンネル2本使用し、さらに3本のECC88で位相反転し、出力段に送られ、V20とは違って、片チャンネル6本のEL84と EARオリジナルのスペシャルトランスの組み合わせで、50Wの出力を叩き出します。 V20のような細身ではなく、中低域は実に分厚く濃厚です。 V20では高域がやや荒く、僅かに歪みっぽさがありましたが、V12はボリュームを上げていってもまったくそのような感じがありません。 それでいて繊細さに加え、透明感もV20を遙かに凌駕しています。 幼い頃は膝上にだっこして一緒に音楽を聴いたりしていた遠縁の親戚の子が久しぶりに姿を見せたと思ったら、アニメ顔負けの はちきれんばかりの胸元Yラインの見事な美少女に成長していて、「こんなに大きくなっちゃったら、だっこしてエスカフローネを聴かせて、 なんて、もう、言えないね」と、ソファーに並んで座って、鼻が触れ合うくらいの距離、吐息が頬を撫でていく近さでニッコリ微笑まれ、 しどろもどろになってしまう感じ、と言いましょうか(あ、これ、今年のお正月の実話です)、 元V20遣いとしては、いやはや本当にビックリ、目を見張るほどの音です。 First Watt SIT 1の解像度抜群、透明感、空間描写能抜群の音には、そりゃぁ、敵わないでしょう。 おそらく音を聴かせたら、10人中8人は、First Watt SIT 1の方が良い音、正しい音、と答えると思います。 でも、個人的には、何かよそよそしいというか、距離感を感じていました。 昨秋には、EAR paravicini 312 や、EAR912 の試聴機をわざわざ取り寄せ、Paravicini氏には申し訳ないことに、プリアンプの購入には至りませんでした。 しかも、一度、V12は拙宅で試聴機を貸し出してもらって拙宅で試聴しているにもかかわらず、その時には解像度、空間分解能抜群、 切れ味抜群のFirst Watt SIT-1に軍配を上げたはずなのに、今回はまったく結果が違ってしまいました。 いったい、あの時と何が違っているのか? 答えは、AETのEvidence ACの電源プラグをフルテックに交換したこと、です。 実は、フルテックの電源プラグに換えて、一時、気になっていた高域の一部の帯域のエネルギー感がおさまったと同時に、ローエンドも、 高域も伸びやかになって、ストレスのない音を奏でるようになってしまって、驚きを禁じえませんでした。 かつてのV20の音も好きだったのですが、ああ、やっぱり、僕はこういった音が好きなんだ。 良い音と好きな音は違うということを、改めて実感した次第です。
Last update Feb.7.2014
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