■ EAR V20 ■

EARの名を一躍有名にしたのは、同社を主催するティム・ディ・パラビッチーニが1980年に ピンク・フロイドのプライベート・スタジオに同社のプロ用パワーアンプが入ったのに続き、 ポール・マッカートニー所有のSTUDERのデッキをチューンしたあたりからでしょう。
知る人ぞ知る、1977年に颯爽と登場したMichaelson&AustinのTVA-1の回路設計も彼が 手がけています。
EAR(エソテリック・オーディオ・リサーチ)は1979年ケンブリッジ近郊のハンティングトンに 設立。日本には1995年発売されたテレビの水平偏向出力管であるEL519/6KG6という真空管を 使用したEAR859で初登場となります。
技術的にはエンハンス・トライオードモードという回路を使用しているのが特徴。
その彼がお気に入りの真空管12AX7(ECC83)を片チャンネルあたり10本使って作り上げたのがV20。 日本では1997年年末に初めて紹介されています。
プレート損失1Wのハイμ小型三極管の12AX7を10本パラレルで使用し、プレート損失10W、 プラスグリッド・ドライブのプッシュプル動作として20Wの出力となっています。
出力トランスにはプレート巻線とカソード巻線が同一インピーダンスで4巻線設けてあり、 プレート負荷、カソード負荷を同時に出力トランスに送り込む「バランスト・プッシュプル・サー キット」なる回路技術で作り上げた、正面から見るとミッキーマウスの顔の様で、愛嬌もあり、 見た目にも美しいアンプの一つだと思います。
ちょっと線が細くて、力強さはあまり感じませんが、浮遊感の描写にも長けた、艶やかでしなやか、 美音の極値を聴くことが出来る、数少ないアンプの一つであることは間違いありません。

画像をクリックすると、大きく見ることが出来ます。



正面像です。だいぶフロントパネルが汚れています(^^;

少し上から見た像です。
左右のボンネットの中に20本真空管が入っています。
この真空管の埃は大敵で、裏側の蓋を開け、六角レンチで固定を外し、ボンネットを ずらす様にして外さなくてはなりません。素人には無理ですので、専門家に任せましょう。


背面です。いっちょ前にテープ出力、入力があります。


底面です。インシュレーターは4カ所です。


底蓋を外したところです。右端に4カ所、六角レンチを挿入する穴があります。
トランスはEARオリジナル。手前が入力切り替えスイッチの棒、奥がボリュームです。


Last update Sep.17.2001