■Thomann S-150 Mk2でSonus Faber Stradivari Homageを鳴らしてみる■



今回、TANNOY Reveal 601aとpでメインシステムとガチで勝負して、最終的にはアンプ付きの601aはThomann S-150 Mk2 を得た601pに敗れ去り、601pが生き残りました。
8月15日版ではセンター・ラックのトップを飾っていたALLEN&HEATH DJ用ミキサー XONE:92は、 音源からThomann S-150 Mk2へのダイレクト接続に変更となったため、舞台から退散することになってしまいました。
Thomann S-150 Mk2には入力ボリュームがあるため、そういうことも可能となったのですが、問題は、その、「音」です。 ALLEN&HEATH DJ用ミキサー XONE:92を使用していた時には、フレッシュで勢いがあり、好ましいと感じていたのですが、 ダイレクト接続を行ってみて、驚きました。

ALLEN&HEATH DJ用ミキサー XONE:92を使っていた時には良いと思っていた、音の勢いが、ダイレクト接続では、 それほどではなくなりましたが、変わって懐の深さ、色彩感に加え、透明感まで出てきたのです。
メインシステムで聴かせてくれた、フルカラーのシンバルとまではいきませんが、表情が単調だった音に、幅が出てきたというか、 芯があって、勢いもあるのに、濃密さ、懐の深さもあって、メインシステムに近い音になってきたのです。

ひょっとしたら、まだ残っているメインシステムとの差は、音源の差ではないか、と考え、Renew DSとアップデートしたKlimax DSの差が どれくらいあるのか、試してみることにしました。
可能な限り、メインシステムとの差をなくすため、電源ケーブル、ラインケーブル、ともにAET Evidenceシリーズとしました。
スピーカーケーブルは、残念ながらEvidence SPにスピコンという選択肢が無く、 逸品館で手に入れた、その次のランクのAET SIN 切り売りケーブルを自作加工した、 AET SIN SP NEUTRIK NL4FX --> WBT0681Cuでの実験となりました。

Renew DSとKlimax DS(アップデート後)の音の違いですが、比較すると、Renew DSでは中低域が少し軽めに出てきます。 空間分解能は、Klimax DS(アップデート後)の圧倒的な透明感に比べると、Renew DSではモヤがかかった感じがします。
その差がそっくりメインシステムとの差か、というとそこまでではなく、やはり、VIOLA SOLO & LEGACYで鳴らすDD66000の圧倒的な中低域の厚みには及びませんし、 First Watt SIT-1で鳴らすSonus Faber Stradivari Homageの見事な空間分解能、音像定位には敵いません。

しかし、ストレートで勢いのある音の出方は、他のシステムには見られない優れた美点で、ALLEN&HEATH DJ用ミキサー XONE:92 を通して聴くと、いかにもフレッシュでさらに勢いがあるように聴こえてしまいますが、その分、音が単調。 今まで聴いていたThomann S-150 Mk2の音は、ALLEN&HEATH DJ用ミキサー XONE:92 によって修飾されていた部分が多いことに、改めて気付かされました。

さて、Reveal 601pを奥に引っ込ませたのは訳があります。
今まではReveal 601pのプロ用モニタースピーカー的性格からして、比較対象が主にジャズによるDD66000のラインナップでしたが、Thomann S-150 Mk2 を得たReveal 601pなら、今まであまり比較してこなかったクラシック音楽による、両横のSonus Faber Stradivari Homageとの比較が出来るのではないか、 と思ったからです。それには、Sonus Faber Stradivari Homageの音道を邪魔をしない、この位置がベスト。
残念ながら、スピーカーケーブルの端末がスピコンという特殊なプラグな上、 AET SIN SP NEUTRIK NL4FX --> WBT0681Cuでは長さが 足りず、今まではThomann S-150 Mk2をSonus Faber Stradivari Homageにつないで聴くことが 出来なかったのですが、アンプの位置を、写真のような真ん中ではなく、少し左にずらしたり、Sonus Faber Stradivari Homageを少し内側に寄せたり して、何とか、AET SIN SP NEUTRIK NL4FX --> WBT0681Cuを使って、 Thomann S-150 Mk2のアンプに繋ぐことが出来ました。

そしてその音出し一発目の感想。
「Sonus Faber Stradivari HomageがTANNOY Reveal 601pになっちゃった」
実際はまったく同じになることはないのですが、傾向が実に似通っていて、Thomann S-150 Mk2の 音の支配力の強さを実感しました。
よく音を聴きこめば、Sonus Faber Stradivari Homageの方が音の色彩感は豊かで、超高域まで素直に伸びています。そして低域も伸びていて ワイドレンジ。
でも、Reveal 601pでもそうでしたが、筋肉質ではありますが、ギュッと圧縮された、どうかしたら寸詰まりでストレスを感じさせる鳴り方です。
First Watt SIT-1で聴かせてくれた、目の前が開けていくような広がりや、空間に吸い込まれていくような感じとは対照的で、音を緻密に並べて ギュッと圧縮し、それをどんどん投げつけてくる感じです。 解像度、透明感もイマイチで、開放感、伸びやかさにも欠けます。

とは言うものの、それはFirst Watt SIT-1を聴いて知っているから言えることで、知らなければ、DD66000ほどではないけれど、音が前に出てくる、 パワーあふれる鳴り方、と驚いたことでしょう。
購入価格29,800円のパワーアンプでFirst Watt SIT-1と比較すること自体、無理があると言われればそれまでなのでしょうが、 100万円を超えるパワーアンプで、First Watt SIT-1と比較して話が出来るアンプが数少ないことを考えると、 Thomann S-150 Mk2は、恐るべきパワーアンプと言えましょう。
それに、VIOLA LEGACYでDD66000を鳴らしてクラシック音楽の室内楽曲を聴く気にはならないのと同様、単にThomann S-150 Mk2は、 クラシック音楽よりもジャズに相性が良い、しかもある程度パワーを入れて聴くことを前提にしたアンプ、と考えれば、用途的にもプロ用で あることにも納得がいきます。実際、そういう使われ方をしているアンプなのでしょう。

と、ここまで書いて、条件を同じくすべく、今まではLANケーブルには BELDEN 1874A CAT6を使用していたのですが、 メインシステムと同じAIM SHIELDIO NA3を使用してみることにしました。
写真のAIM SHIELDIO NA3はメインシステムに使用している1.5mモノですが、それでは長さが足りないので、 3mモノ(製品名称はAIM SHIELDIO NA3-R030)を発注。 8月31日に届いて、入れ替えしてみてビックリ。
今まであった圧縮感、圧迫感、寸詰まり感が皆無とはいきませんが、ほとんど感じられなくなり、筋肉質のコリッとした歯ごたえは残しながら、超ワイドレンジ。 特に高域、シンバルの色彩感が、メインシステムにいっそう近付いた感があります。繊細さも格段にアップ。ひょとしたら、今まで不満に思っていた寸詰まり感は、 BELDEN 1874A CAT6によるものだったのかもしれません。ただ、現状でもわずかながらFirst Watt SIT-1に較べたら圧縮感、寸詰まり感がないわけではなく、 これはむしろFirst Watt SIT-1のレベルの高さを物語っているのかもしれません。 本日の試聴会ではThomann S-150 Mk2で鳴らすSonus Faber Stradivari Homageの音を最初に聴いて、圧迫感、 寸詰まり感があると感じた方は居なかったのですが、First Watt SIT-1で鳴らした時には、「おおぅっ!」と声が漏れるほど、空間描写能が素晴らしく、伸びやかで懐が深い音でした。

ただ、これも、まだスピーカーケーブルがAETのSINとEvidenceと違うので、完全にアンプの音を反映しているとは言い難く、本来ならEvidence SPに スピコンを取り付けて聴きたいところですが、エスアイエスに問い合わせたところ、 加工費用が別途4万円発生し、AETのWebを見ると AET Evidence SP 2.7m Pair / 1,134,000円とのこと。
とても29,800円のアンプにテストのためだけに購入する金額ではなく、あとは以前使用していたSIN SPと今のEvidence SPとの音の違いから、 想像するしかないという状況です。
バイワイヤリングで鳴らしているJBLDD66000は、ケーブルもさらに倍の2ペア必要ですし、スピコンの構造上不可能で、アンプを2台用意して、 マルチで鳴らす方法が無いわけでは無いのですが、それならVIOLA LEGACYのマルチとの比較も必要になり、そこまでやるのは現実的ではなく、どなたかから資金を800万円ほどいただければ 出来ないこともないですが、オーディオを生業としているわけでもない私が、いくらなんでもそこまでする必要はないと思います。

それにしても、Renew DSとアップデートしたKlimax DSの差より、LANケーブルの差の方が、聴感上大きかったのは予想外でした。 デジタル音源を50万円クラスからハイエンドの300万円クラスに替えたくらいの差があると思います。怖るべし、LANケーブル!
でも、デジタル信号なのに、どうしてここまで差が出るんでしょうか? 不思議でなりません。

条件を同じくする、ということで、さらに一歩進んで、今まではSonus Faber Stradivari Homageを鳴らすためには、プリの OCTAVE HP500SE/LEから6.5mのAET Evidence LINE RCA を介してFirst Watt SIT-1に繋がっていましたが、本当に条件を同じにするなら、Thomann S-150 Mk2と同様、LINN Klimax DSから 直結にしなければなりません。
残念ながらFirst Watt SIT-1にはボリュームが付いていないため、普通なら出来ない相談なのですが、なんと、LINN Klimax DSはファームウェアのバージョンアップ後、 操作・再生ソフトである、LINN Kinsky Desktopというソフトウエアを使用すると、ボリュームコントロールが出来るようになっていたのです。
早速、やってみました。

First Watt SIT-1は、やっぱり凄い!
Thomann S-150 Mk2のように、音が弾んで迫ってくる感じはありません。
でも、この色彩感の豊かさ、音色の豊富さ、透明感、ローエンドも超高域も伸びきって、ストレス感無く、実に表情も豊か!
あのThomann S-150 Mk2が、First Watt SIT-1と較べると、数枚、ベールがかかったように 聴こえてしまうのです。
Thomann S-150 Mk2は、スピーカーの尻を叩いて音を前へ前へと飛び出させているような感じです。 遠くの人に声が聴こえるよう、手ラッパで大声を上げている感じ、と言った方が良いでしょうか。
だから、時に音を絞り出すような、ちょっとストレスがかかった音がします。

対してFirst Watt SIT-1は、スピーカーが目の前にやって来て、耳元で囁いたり、吐息が顔にかかるくらいの距離で私だけのために、 プライベート・コンサートで歌ってくれたり、手を伸ばせば本当にその歌手に触れるのではないかと思えるほど、距離感が本当に近いのです。
そのくせ、スピーカーの位置関係はしっかり守って、両チャンネルのスピーカーの間に驚異的な分解能で緻密な舞台を繰り広げながら、 一つ一つの音が決して他の音に埋もれてしまうことなく、それでいてスピーカーの存在を忘れさせるほどのリアリティーで聴かせてくれるのです。

考えてみたら、拙宅の歴代の並み居るメインアンプを押しのけ、VIOLA LEGACYとは別の魅力でもって、見事、その地位を獲得したわけですから、 29,800円のアンプがあっさりその地位を奪えるほどヤワじゃ、ありません。改めて、First Watt SIT-1に惚れ直した次第です。
LINN Klaimax DSとFirst Watt SIT-1の直結、本当にこれ、イケるんですが、そうするとSonus Faber Stradivari Homageが、LINN Klimax DS専用機になって しまい、アナログやFMを聴くことが出来なくなってしまいます。それも困りものです。

そうそう、書き忘れるところでした。
8月15日版にも書いたのですが、この、Thomann S-150 Mk2は、ドイツ製のプロ用パワーアンプのため、 電源電圧が240V、あるいは115Vで動作するようになっており、日本のような100Vでは内部の保護回路が働いて、音が出ないケースがあるようです。
電源電圧昇圧トランスを使用すると良いようですが、今度はそのトランスの音も乗っかってくるので、 単純にThomann S-150 Mk2の音、というわけにはいかない部分があります。
Thomann S-150 Mk2が、日本仕様に電源トランスに100Vタップがあるものを使用し、 日本に輸出する場合は、切り替え出来るようにしてもらうと良いのですが、どなたか、交渉していただける方、いらっしゃらないですかねぇ。
ちなみに旧型は、保護回路がそこまでシビアな設定していないのか、働かないため、日本の100Vでも音が出ているようです。
拙宅は柱上トランスからの距離も短く、電源電圧の低下が少ないせいか、新型でも大丈夫のようです。



Last update Sep.3.2013