■ 戦艦大和資料 ■


 1922年以来主力艦保有数対米英比60%、補助艦70%、主力空母60%のワシントン条約 破棄を決めた1934年10月、46cm砲搭載戦艦A-140計画を発足。
 1937年8月海軍大臣より建造命令が出され(兄弟艦の武蔵は翌年建造開始) 1940年8月進水、パールハーバー奇襲の8日後の1941年12月16日艤装を終えて竣工引き 渡し式が行われ、大和と命名されて実戦配備された。
 初陣は1944年6月のマリアナ沖海戦で、軽空母の護衛であった。
 この時航空機の攻撃を受け、その対策として2連装5cm砲を24門、3連装基銃を98門、 レーダー6基を追加装備した。
 44年10月レイテ沖海戦では航空機の援護もなく、兄弟艦武蔵を失い、大和もB-24を含 む延べ650機の攻撃を受け、前部に1発が命中、甲板を貫通し、内部で炸裂。更に1番砲 塔の肩に命中した。
 この海戦で初めて46cm砲を使用。スコールの悪天候の中、サマール沖で遭遇した軽空母 2隻、戦艦1隻、巡洋艦4隻、駆逐艦2隻に発射し、軽空母1隻、駆逐艦3隻を撃沈した。
 大和の最後の出撃は航空機援護のないまま連合軍艦隊と砲撃で決戦する特攻を命じられ、 片道燃料しか積まず、1945年4月6日沖縄を目指した。
 しかし翌7日昼過ぎ、100機を超えるアメリカ機動舞台に襲撃され、高角砲24門、機銃156挺、 15.5cm副砲6門で対空砲火を浴びせた。
 主砲は爆圧で対空砲火戦闘員に影響がないよう、三式弾の発射は出来ないまま、1時間30分 の間に10発の魚雷と23発の直撃弾を受け、最後の10発目の魚雷によりそれまで6度の傾きで保 っていた大和は更に傾き、主砲砲塔の数百発の砲弾が滑り出し、弾火薬庫に誘爆。300mに及ぶ 火柱を上げ、それがきのこ雲となって高度6,000mまで吹き上がり、船体が裂けて午後2時23分、 2740名の乗員と共に沈没した。生還したのは約1割であったという。

世界の主力戦艦の2倍近い排水量と、世界の主力戦艦の搭載砲である40cm砲に耐える防御能 力しか持っていないアメリカ海軍軍艦を沈めるべく、すでに試作されていた48cm砲より若干小 さいが、余裕を持たせた46cm砲を搭載した戦艦を建造。口径では6cmの差だが、破壊力は1.6倍 にもなった。
 ちなみにアメリカが40p砲が最大だった理由は、パナマ運河を航行できる幅が33mで、この幅 で搭載できる砲の限界が、40cmだったことによる。
 当時世界最強のアメリカ海軍40cm砲搭載主力艦のスペックは、舷側水平装甲30.6cm、甲板装甲 は19.6cm、40cm砲有効射程距離は約30kmであった。

■大和のスペック■
 1)砲塔関係
 主砲46cm 砲3連装砲塔3基(前に2基、後ろに1基)9門(1門につき砲弾100発、計900発 搭載)、15.5cm副砲3連装4基、12.7cm高角砲2連装6基、5mm 2連装機銃12基、13mm4連装 機銃4基搭載。
 主砲は1,340kg(2,000ccクラスの車1台に相当)、長さ1.95m、直径46cmの九一式徹甲弾を 330kgの炸薬で最大41kmまで飛ばすことが出来、35km離れた23cm厚の甲板などの水平鋼板や 30cm厚の舷側などの垂直鋼板を貫通する威力があり、130,000馬力相当の破壊力があり40秒間 隔で9砲弾を一斉射撃出来る。
 砲弾は初速780m/minで打ち出され、毎秒60回転し、亜成層圏を通過して40km先に90x400mの 範囲に集中落下させることが出来た。これは当時のアメリカ海軍主力艦の3倍の命中率であ る。  加えて三式弾という一種の榴散弾を発射でき、航空機を一網打尽に撃墜することも出来 た。
 砲身は長さ20.7m、160トン。これを3門搭載する砲塔は、1基あたり3254トンにもおよび、 3基で10,000トンにまでなった。
 高さ20m、7階建て相当の砲塔前部の装甲厚は65cmで、アメリカ海軍40cm砲主力艦の40.6cmを 大きく上回った。
 砲弾は従来は横積みであったが、大和では立てたまま格納運搬でき、格段の装弾速度を可能 にした。
 48個のローラーで支えられた砲塔の旋回には、1分30秒で180度回転させる能力を持つ2,000馬 力相当の水力原動機が2基備えられていた。
 爆圧は、1門の砲撃で35m離れた乗員の被服を破り、全9門の射撃では54m離れた所で同様の 状況を生じさせた。
 そのためボートや飛行機は艦内に格納し、砲塔付きでない高角砲や機銃などは爆風よけの風 防をかぶせなくてはならなくなった。
 しかし、後に追加された大量の風防無しの機銃が敵機を迎撃している際は、46cm砲が使えな いという欠点が生まれた。

 2)排水量:基準排水量64,000トン。
 3)サイズ:全長263m、最大幅38.9m。
 4)出力
  軸出力153,500馬力
  蒸気タービン方式で、12基で153,500馬力を得、4基4軸のタービンで推進。
 5)速力
  27ノット(時速約55km)
  船首の球状船首(バルバス・バウ)で8%の走行抵抗を減らし、アメリカ主力艦の
  28ノットに相当する速力を得ることが出来た。
 6)航続力:16ノット(時速約30km)で13,000km
 7)乗員
  2,300人(後に3,000人までup)。各人にはベッドが与えられ、エアコンも装備、主要部で
  は27度以下に保たれていた。
8)防御能
  46cm砲弾を20km先から10発以上打ち込まれても沈まず、魚雷は2本同じ舷側に受けても注 水バランスを取り、戦列を維持出来るだけのものを持っていた。
  これは致命的な設備や機械類を直接防御区画(主要防御区画)に入れ、主要でない設備は 間接防御区画(防水区画)に分散させるという新機軸を採用したおかげである。
  主要防御区画は巨大な箱で、艦の中央部を上面が20cm、側面が41cm、前後面が30cm厚の鋼 鉄で完全に囲われており、厚さ20pの装甲鋼板はVH鋼といわれ、通常砲弾が直撃しても 砲弾自体が潰れ、高度1,000mから1トンの徹甲爆弾が投下されても耐えることが出来た。
 間接防御区画は防水区画を1047区画設け、1区画に着弾炸裂しても損害や進水が他の区 画に及ばない造りになっている。
 ちなみに兄弟艦の武蔵は魚雷20本、命中弾16発、至近弾16発を受け、大和は命中魚雷10本、  命中弾23発を受けても沈まず、最終的には艦内の砲弾や爆薬の誘爆を起こして沈んだ。

Dec.29.1999(Dec.30.1999 改訂記載)
初出 2005.5
Last update Jan.4.2007

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