AIR TIGHT(エアー・タイト)はラックスから独立した営業の三浦篤氏と設計部の石黒正美氏が1986年に
設立したブランドです。社名はA&M。篤のAと正美のMの頭文字をとったそうです。 プリント基盤を使用せず、高品位パーツの手配線を貫き通した製品群はさすがです。 日本ではあまり有名ではないのですが、このメーカーのアンプは海外では評判で、徐々に国内でも 認められつつあります。 このアンプの特徴は、プレート電圧1000Vクラスの送信管211をA2ドライブによるシングル・モノラル パワーアンプ。 NFBはオーバーオールに出力トランスからかけずに、ドライバーの12BH7から初段に戻すタイプで、ダン ピングファクターは2.18と比較的低め。ゲインは27.1dBで定格出力26.9Wを得るのに1.5V。 最大出力は31.7W。出力インピーダンス3.66Ω。 A&M社より、ATM211を2001年9月21日発送、26日にA&M社必着でなら試聴可能という連絡が、小倉の マックスオーディオよりあり、大喜びで22日から24日まで試聴することとなりました。 ATM300と較べると、一回り音像が大きくなっているように感じます。中高域にかけて、たぶん1〜3kHz あたりが、ちょっと突っ張って、硬い感じがします。ATM300も少し一本調子のところがありましたが、 もう少ししなやかで表情が豊かだったように思います。 これは真空管のせいかも知れません。オーディオ用なら211でなくて845を使いたいところですが、 A&M社がなにゆえ211を選択したのか、興味があるところです。搭載しているのは造りからしてWE211E タイプではなく、GEの211タイプですが、これがWE 211Eなら、もっと中高域に色気が出て、色彩感も 豊かだったかも知れません。もっとも、エージングが不足しているのは間違いないでしょうから、鳴らし 込んでみると少しは解消されるかも知れません。 低域に関しては、スケールが大きく、底鳴りがするような力があります。ただ、ATM300に較べると 重たい気がしないでもありません。ダンピングファクターが2.18であることを考えると、もう少しダンピ ングファクターを増やせたら低域のコントロールが良くなるかも知れないと思いました。 もっとも、真空管アンプの場合、DFが高くなりすぎると低域が出ないので、難しいところなんでしょうが、 トランスをもう少し小さくしてみたら、低域のキレが良くなると思いますが、211の性格からして、 低域が出にくいかも知れず、難しい選択かも知れません。 とはいえ、シングルならではの解像度と情報量の多さはさすがです。そしてシングルで30W出るだけあって、 Marantz model 5を凌ぐドライブ能力は見事と言うほかありません。また、Marantz model 5と入れ替え てもそれほど異和感がないほど自己キャラクターが少なく、力感は少々増すものの、プリアンプ、CD、スピ ーカーなど他のオーディオ機器のキャラクターを反映しやすいアンプとも言えます。 ※画像をクリックすると、大きく見ることが出来ます。 |