■ Red Rose Music Model 5 ■

Red Rose Musicはマーク・レビンソン・オーディオ・システムズやチェロを興したマーク・レヴィンソン氏が オーディオ・プリズムの製品をベースに、パーツの細部に至るまで、徹底的にブラッシュアップしたモデルを発表、 一躍、アメリカ・ハイエンドオーディオ界の注目の的となった。
それもその筈、なんと真空管アンプを手がけたのだから、驚きです。

フラッグシップ・モデルはModel 1(ペア\4,000,000)とModel 3 Silver Signature(\1,850,000)。
Model 1はウルトラリニア接続時に170W,三極管接続時に90Wの6L6WXT4本並列AB級プッシュプル・アンプである。入力信号はWE417A/5842でPK分割位相反転され、6SN7に送られる。出力トランス専用巻線から約8dBのNFBがかけられている。
Model 3はライン専用のプリアンプで、やはりオーディオプリズム社のマンティッサをベースに造られたもので、レビンソン氏はこのプリアンプを録音用のミキサーアンプとしても使用しているとか。これを徹底的にブラッシュアップ、特に内部配線に銀線を使用したのがSilver Signatureである。

ちなみにModel 2はオーディオプリズム社のデビューがベースで、出力はUL接続時35W、三極管接続時18Wである。
Model 5は、このModel 3とModel 2を一体型とした、デュアル・モノラル仕様のインテグレーテッドアンプである。もちろん、単に二つを併せただけでなく、出力はUL接続時45W、三極管接続時22Wにup。パーツも23ステップのホルコ社製ローノイズ固定抵抗による切り替え式アッテネーター、キャドック社の抵抗、MIT社の錫箔ポリプロピレン・フィルムコンデンサー、スプラグ社のオイルコンデンサー、自社の銀線、ハードアノダイズ処理のアルミ製筐体、ロジウムメッキのカルダス社製スピーカー端子……。
電源部はFET使用使用のディスクリート構成で、もちろん、真空管はDC点火。

そしてその音は、元となったModel 3&Model 2の、余韻は美しいのだが、ともするとトゥッティーが遠く感じてしまうのとは違い、実にパンチの効いた、底力のあるバスの音を聴くことが出来る。まだエージングが完全でないせいか、三極管接続でないとレヴィンソン独特のあの浮遊感あふれるサウンドは味わうことが出来ず、UL接続では多少、荒々しさを感じることがあるが、EL34を古いMullard製に換えたとたん、背筋が寒くなるほど、驚いた。ビロードの肌触りを感じさせる美音でかつ、クリアーで力強いサウンドが甦ってきたのだ。
ハッキリ言って、この音、いくら頑張っても、Model 1では出ないでしょう!。あのMarantz氏がこだわり続けたMullardのEL34でなくては出ない音、確かにそれがあるんです。私には、レヴィンソンとMarantzを結ぶ線が、かすかに見えてきたような気がしました。そしてその時ほど、MullardのEL34の復活を願ったことはありませんでした。

しっかし、\1,380,000もするプリメインアンプってのもねぇ……。

各画面をクリックすると、さらに拡大された画面をご覧になれます。



正面の様子です。綺麗に左右対称になっていて、外観も美しい。
双3極管の12AT7を初段部とカソード結合型位相反転兼ドライブ段に使用し、 出力段はロシア製EL34が2本×2のプッシュプルという構成。

綺麗な曲線を描くトランスカバー。実はこれ、外れます。

左右完全に独立した構成のため、入力端子も左右に分かれています。

右側が電源スイッチ。スタンバイモードがあります。ここで約1分、緩やかに電圧を上げ、それからONにします。

シャーシ上面に、まるでMarantz model8を思わせる、バイアスチェックメータがあります。 各EL34にはプラグイン方式のヒューズがそれぞれ備え付けられ、真空管の保護も万全。

トランスのケースを外したところ。Model 2の出力よりも10Wパワーアップ出来たのは、 このトランスを一回り大きくしたからとのこと。

底面です。さすがにネジを外して内部までは撮影しませんでした(^^;

スピーカー端子はカルダス製。4、6、8オームに対応。それに合わせて、隣の切り替えスイッチも変更しなければなりません。 アースはCOMMON,FLOAT,GROUNDが選択でき、その隣にUL接続とTRIODE(三極管)接続切り替えスイッチがあります。

電源ケーブルには、こんな特性ケーブルが付いています。これだけでも音、良さそう。


Last update Jun.17.2001