■ EXIMA Speaker Cableを使ってみる ■


待ちに待った、EXIMA Speaker Cableが10月4日金曜日にやってきました。
エスアイエス経由で、1スプール40m、丸ごと購入しちゃいました。
そして、まず、TANNOY Reveal601p用に、Thomann S-150 Mk2に接続して試聴すべく、 NEUTRIKスピコンNL4FXと、ニチフYラグ5.5AWG 6mmで早速、3mモノを1セット作りました。
あんなにAET SINの時には苦労したのに、EXIMA Speaker Cableでは、スピコン側の取り付けは苦も無く終わってしまいました。
一つには二度目だったので、要領が少し良くなったのでしょうが、それより、AETでは太い2線を捩って穴に入れる難しさがあったのだと思います。
今回のEXIMA Speaker Cableでは、1線ずつ挿入するので、銅線が不規則によじれたりせず、11AWGと、10AWGよりも一回り細い線だったので 入れやすくもありました。

また、以前のサンプルと違って太めになっていたので加工もしやすく、周りにカッターナイフで薄めに切れ込みを入れ、尖端の鋭利なハサミで慎重に 削るようにして切れ込みを広げる感じでグルリと一回りすると、案外、外皮もサンプル品の時ほど力が要らすに、比較的楽に外皮を取り外すことができました。

次に手がけたのが、基準となる、両端ともニチフYラグ5.5AWG 6mmのタイプ。 写真は3mモノですが、拙宅では195cmとなっています。 黒の直径1cmの熱収縮チューブを外皮に被せ、6mmモノをそれぞれ、プラスには赤、マイナスには黒を被せます。 8月15日の記事をご覧いただくと、ヒート・ガン等、工具、用具一式がご覧いただけます。
出来映えは自画自賛になっちゃいますが、けっこうイケるでしょ。
ま、実験工房のコーナーをやるようになってから、確実に、工作の技術は上がってきたように思います。

そして、ハイエンド用にWBTのYラグ、しかも銀をアンプ側、銅をスピーカー側に使って、銀だけの時のようなドンシャリ、線の細さを回避しつつ、 地に足が着いた、静けさや透明感のある、ワイドレンジタイプを目指して作ってみました。
現在、作った順番にエージングをしているため、スピコンを使用した分が9日夜の時点で丸5日と、両端ニチフYラグの分が3日半エージング中 という状態です。

さて、EXIMA Speaker Cableの音、ですが、サンプル品の時に気になっていた、低域のやせ細りがあまり気になりません。 しかし、さすがにAET Evidenceと比較すると、特にローエンドが、小ぢんまりとしていて、伸びやかさに乏しく、高域は小粒でややドンシャリ気味の 音に感じてしまいます。
もっとスケール感があって、ローエンドが伸びていて欲しいのですが、AET Evidenceは切り売りだと189,000円/m(メーカー希望小売価格)ですから、 それと比較しての話であることを考えると、税込み3,150円/mのEXIMA Speaker Cableとしては、大健闘だと言っても良いでしょう。

EXIMA Speaker Cableの有り難いところは、音出し開始時から、ある程度の音で鳴ってしまうところでしょうか。 あのAETのEvidenceですら、スピーカーケーブルや電源ケーブルのような太いものは勿論、LINEケーブルのような細いものでも、 最初の1〜2分、その片鱗を感じさせる鳴り方をしますが、その後はローエンドは伸びているものの、音が沈んでしまいます。

そして2日目くらいから3日目くらいにかけて、今度はドンシャリの寸詰まりの音になって、非常にストレスを感じさせる音になり、 4〜5日くらいして、今度はどんどん低域が伸びてきます。そして広大な空間描写能に加えて、芯のある、浸透力の強い音に変貌していきます。

残念ながら、EXIMA Speaker Cableは空間描写能や芯のある浸透力の強い音に変化するタイプではありません。が、高域が小粒ですが華かで、 浮遊感のある、ちょっとこぢんまりとした音です。
ですからボリュームを上げて、少し大きめの音で聴くと、スケール感を補い、まとまりの良さをプラスに発揮するように思います。

元々、サンプル・ケーブルの時点でも高域はみずみずしく浮遊感がありましたが、中域との質感が違い、みずみずしいので好きな人は好きでしょうが、 質感が違うのが嫌な方は、ちょっと気になって仕方がなかったかもしれません。今回の製品版ではわずかに高域が線が細く、浮遊感があって、 ヒラヒラした感じがするのですが、サンプル版のような質感の違いは、ほぼ解消されたと言っても良いかと思います。

欲を言えば、WE(Western Electric)のスピーカー・ケーブルのような、芯のある力強さも秘めていて欲しいし、その一方で、 もう少し高域の静けさがあっても良いかな、という気もします。
音の緻密さという点では、サンプル・ケーブルの方が緻密だったかも知れません。 ケーブルの外皮を外す時の密着感は、サンプル・ケーブルの方が上だったように思います。 ひょっとしたら、そういった密着度とも関係しているかも知れません。

高域の質感の変化は、アルミ箔を銅箔に変えたせいかも知れません。ただ、サンプル版に較べて、巻きが緩い気がします。 隙間を埋める綿線も、サンプル版のようなギッシリ詰まった感じがなく、ケーブル加工はし易くて都合が良いのですが、実際の音は、サンプル・ ケーブルと比べて、透明感の点では少々劣る気がします。余韻の部分が音が散る傾向がみられ、ドンシャリでうるさいと言うほどではありませんが、 もう少しこの部分が改善されたら、とても良いケーブルになると思います。
まだまだエージング不足の点も否定できません。時間をかければもっと落ち着いてくるかもしれません。 今後、どのように変わっていくか、楽しみでもあります。

総合的にみて、3,000円/mクラスとしてはかなり善戦しているとは思いますが、EXIMA Speaker Cableでなくては、 と言うような、突き抜けた個性がありません。個人的な好き嫌いは別にして、ゾノトーンのようなきらびやかな中にも、スケール感が あってローエンドがダレずにしっかり伸びていて感心させられる音。
AETのEvidenceシリーズにみられる、低域から高域まで質感が均一で、ワイドレンジ。空間描写能が抜群で、色彩感も豊かでありながら、 音に芯があって、ジャズからクラシック音楽の室内楽まで幅広く対応し、声が実に色っぽい音。
値段は多少上がっても、「他に代わるものがない」と言われるくらいの製品を作って欲しいし、サンプル版での不満だった点が修正された ところをみても、それが出来るメーカーだと思いました。

ところで、今、HARBETH HLCompact 7ES-3が出戻って来まして、「超弩級ではないが、それなりのピュアオーディオ用スピーカー」 として、実験工房のテストに参加しています。
同じ条件で鳴らしたら、やはりTANNOY Reveal 601pより、一枚上手の音です。なにより、しなやかで色気が素晴らしい!
どうかしたら、ソナスのストラディヴァリにも通じる美声を聴かせてくれて、ちょっと驚きだったりします。

また、DJ用ミキサーのALLEN & HEATH XONE:S2をプリアンプのテスト用に入れてみました。
これは、USB入力が使えるので、パソコンからの入力もOKだったりします。
まだ、ケーブルのエージングと評価のため、USBの方は後日、ゆっくりテストしたいと思います。
と、ここまで書いて、皆さんに謝らなければならない事態が生じました。f-avの方にはすでに書いたのですが、
EXIMA Speaker Cableの試聴には、ぜひ「WBTの銅製Yラグ」をお試し下さい。

価格的にWBTは高価(WBT-0661Cu:希望小売価格13,440円/4個1ケース)なので、基本ということでニチフのYラグを付けたケーブルを試聴用にお渡し した方が多いのですが、音がぜんぜん違います。
特に低域の鳴りっぷりが格段に良くなり、高域のドンシャリがなくなります。
10月10日夜からWBTのYラグ(アンプ側銀WBT-0661Ag、スピーカー側銅WBT-0661Cu)を使用したケーブルを鳴らし始めたところなのですが、初っぱなから、まるで別のケーブルを鳴らしているような雰囲気です。

超高域の線の細さは、WBTのYラグを両端とも銅製のCuのものを使用すれば、落ち着くのではないかと思い、早速、10月11日にAETの自作SINに使用していた銅製Yラグを 外して、銀製Yラグと入れ替えたところ、重心が下がって、高域も落ち着き、線が細くて浮ついたところがなくなって、見事な音になりました。
ひょっとしたら、EXIMA Speaker Cableの製作者は、WBTのYラグで試聴テストを行っていたのではないか、と勘ぐってしまったほどです。
ちなみにメールで伺ってみたところ、最終確認は「コネクタ無し」のようで、フルテックの金メッキ、ロジウムメッキのYラグでも確認しているようです。

と、ここまで書いて、さらに皆さんに謝らなければならない事態が生じました。(2013.11.18;2013.12.25改)

EXIMA Speaker Cableの製作者はフルテックのYラグで試していることは先にお書きしましたが、このFP-201ロジウムメッキYラグは、まるでEXIMA Speaker Cableのために存在しているようなYラグです。
EXIMA Speaker CableとWBTの銅Yラグでは音がきめ細かくなりすぎて勢いと音の芯が不足する部分がありましたが、FURUTECH FP-201R(ロジウムメッキ) Yラグではまったくそんなことはなく、 音の芯もしっかり出ていて、値段はむしろWBTより安いのですが、フルテックでは1ランク上がったような感じさえあります。
このYラグは、本当に優秀だと思います。願わくば、2芯タイプでも可能なように、もう少しケーブル挿入口を大きくしていただくか、2芯対応挿入口のものを作っていただけたら最高です!

超ハイエンドのソナスのストラディヴァリではさすがにAET Evidende SPには一歩譲りますが、HARBETH HLCompact 7ES-3では とても鳴りっぷりが良く、FURUTECH_FP-201R(ロジウムメッキ) Yラグを得てHARBETHのちょっとこもりがちな部分を解き放って軽快なサウンドになり、3150円/mでこの音なら、大満足です。 それにしても今回、フルテックのYラグの優秀さ、改めて思い知らされた次第です。


Last update Dec.25.2013