■ 制服の話 ■


「立てば馬車道、 座ればアンミラ、 歩く姿はブロンズ・パロット」
 東京から遠く離れた北海道や九州ではあまり話題に上りませんが、ファミリー・ レストランのウエイトレスさんの制服が、いろいろ比較検討され、このような 川柳にまでなっています。
 特に「不二家」系列のブロンズ・パロットは、ウエイトレスさんが歩いている際 に綺麗な弧を描いて、たなびくスカートで有名です。なぜこのような美しい動 きをするのかは、
http://homepage3.nifty.com/maidmoemoeclub/famires/bropa2.html
の「MMC」(「メイド萌え萌え倶楽部」の略)で、「孝」さんが見事に考察して います。簡単に説明すると、カマーバンド(「kammer)はウルドゥ語で「腰」の 意味)という、大きめのバンドでウエストからバストのアンダーまで引き締める と同時に、ブラウスをグッと引き寄せてバストラインを際だたせ、スカートの左 右のギャザーをまとめ上げることにより、立ち止まっている時にはスカートが 体にフィットし、歩き出したり振り返ると左右のギャザー部分がフワッと広がっ て綺麗な弧を描く、と。まぁ、実物を見るのが一番なのでしょうが、上記Web PageのCGをご覧いただけば、少しはご理解いただけるかと思います。
 JR立川駅の南口を出て国道16号と20号線(甲州街道)が交差する日野 橋交差点にそのお店はありましたが、2000年9月26日をもって閉店となり、 現在は横浜市鶴見の国道1号線(第2京浜)北寺尾交差点角の鶴見北尾店 のみとなってしまいました。パスタ料理を中心に、シーフードが豊富で美味し いお店です。ただ、立川店とは制服が異なるのが、少々残念。
 アンミラは「アンナミラーズ」が正式名称。梅宮アンナがバイトしていたことで も有名な、あの中華まんの「井村屋製菓株式会社」が経営する、ペンシルバ ニア・ダッチスタイルのアメリカンレストラン&コーヒーショップです。お奨めは アメリカンパイ。種類も豊富で、いろいろ組み合わせて食べることが出来るの で、けっこうバリエーションがあって食べ飽きません。ちなみにアンナミラーズ と梅宮アンナの「アンナ」は、たまたまの偶然の一致だそうです。
 高輪、自由が丘をはじめ、西新宿の東京オペラシティー・サンクンガーデ ンB1など、都内中心に店舗を展開していて、吉祥寺の東急デパート横のお 店に、7月24日、ジャズ喫茶「メグ」のイベント帰りに寄って来ました。誕生日 の人がいる場合、事前に連絡しておくと、バースデー・セレモニーと称して、 ウエイトレスさん達から歌のプレゼントがあります。この時だけは記念撮影も 大目に見てくれるとか。そのせいか、行くとたいてい誰かが歌を唄ってもらっ て、写真を撮っているような気がします。ま、それはともかく、珈琲がお代わり 自由なので、私は夏でもホットを頼んでいます。
 しかし、なんといってもこのお店が評判になったのは、その制服です。
 バストのアンダーを絞り込み、エプロンの肩ひもで横からもバスト共々、グ ッと持ち上げる格好になるので、バストラインが非常に強調され、初めてお店 に入った時など、まだその頃は若かったせいもありますが、ウエイトレスの皆 さんのスタイルがもの凄く良くて、ちょっとどぎまぎしてしまいました。
 左襷(たすき)の真ん中あたりに付けた赤いハート型の名札にファーストネームをロ ーマ字で入れているのも、視線がバストに行き易いように考えられているよう で、ちょっと目のやり場に困ることもしばしばです。
 制服は入社当初はオレンジ色が支給され、ある程度オーダーが取れるよ うになるとピンク色の制服が支給されるとか。流行を先取りしたというか、25年 以上も前にこの制服を採用したとは、本当に恐れ入ります。
 ちなみに「青いアンミラ」とは、神戸に本店があるパン屋さんが経営するレ ストラン「神戸屋」のことで、私はまだ直に見たことがないのですが、ほとんど 色違いとも言えるくらい、デザインが似ているそうで、こちらも評判です。
 馬車道は埼玉県を中心に現在120店舗ほど展開する、スパゲティーの美 味しいお店です。ちなみに横浜駅から中華街へ向かう、東急「みなとみらい 線」の馬車道駅とはまったく関係がありません。
制服は有名な矢羽柄の羽織にスカート状の女袴。足元は編み上げのショ ートブーツ。いわゆる明治・大正時代の女学生スタイルで、「すみれ女史」と 呼ばれているそうです。全体を紫色で統一していて、頭にはリボンを付ける ようになっているとか。
 系列の焼肉店「はいから亭」でも同じ制服を採用していたことからも、経営 者はアニメにもなった、「はいからさんが通る」を熟知していたと言えましょう。 店舗の外観は鹿鳴館時代風で、インテリアも古い柱時計やランプ、絵画等 で演出されており、制服だけでなく、お店全体の雰囲気としてもけっこう気に 入っています。
 それにしても驚くべきは、なんと霞ヶ関の合同庁舎5号館、つまり厚生労 働省や内閣府(防災担当)のある庁舎の中にも馬車道が出来たこと。最上階 の26階にあり、庁舎に入る際に身分証明書の提示を要求されますが、運転 免許証と名刺の組み合わせでOKです。会議室の一つが馬車道になってい る雰囲気で、か・な・り、異和感があります。お客さんも若者が少なく、Yシャ ツ・スーツ姿の、いかにも公務員風の方ばかり。そのミスマッチングが、また 面白いのですが......。
 ファミリー・レストランではないものの、渋谷駅隣西武デパート西館の中2 階、化粧品コーナーの奥にある、ちょっとハイソなTea Salon「EARL」が、個 人的には最も気に入っているお店の一つです。
 紅茶に1,000〜1,500円も、とお思いになるかも知れませんが、14:00から のハイティーセットに出てくる紅茶は、香りと口に含んだ時の旨味が見事で、 渋みを必要以上に出さない淹れ方に、感心してしまいました。クッキーやケ ーキも、甘さを必要以上にひけらかさず、紅茶の風味を損なわないのは、な かなかなものだと思います。
 接客態度も素晴らしく、昔ながらのカチューシャを付けたウエイトレスさん が恭しく対応してくれます。店長は執事風で、背筋をピンとさせたまま、腰を 折り曲げるようにきちんとお辞儀する様には、本当に感心してしまいました。
 東京はディズニーランドだけでなく、街全体が「ワンダー・ランド」で、各所 に大小様々なアミューズメント・テーマパークが存在しているようなものです。 地方都市ではお目にかかれない、こういった特徴のあるレストラン等が存続 出来るのも、その人口故でしょうか。しかし、このまま少子化がさらに進むと、 2010年には東京通勤圏も人口が減少するとか。近い将来、こういったお店 が東京から、いや、日本から無くなってしまうかも知れない、と考えると、ちょ っと寂しい気がします。
初出 2005.8
Last update Jan.4.2007

※ご注意:このページの記載内容については、無断での転載等を禁じます。