■ 2010年10月現在のオーディオシステム ■



世の中、本当に上には上があるものです。
 First Watt J2のところでも書いていますが、あの、298万円もしたセパレートのメインアンプ、Ayre MX-Rを、ネルソン・パスの手による定価40万円のFirst Watt J2が、いとも簡単に主役の座から引きずり降ろしたのですから。
 サブシステムのB&W Sigunature Diamondのアンプ探しの一環として、当初はOVER model PM1 が圧倒的な存在感を示したのですが、OVER model PM1の原型ともなった、ネルソン・パスの First Wattのアンプということで興味を持ち、試聴してみました。
 OVER model PM1も凄かったのですが、First Watt J2は、達人と名人の差、とでも言いましょうか、ちょっと次元が違いました。
 OVER model PM1の音は、出てくる音、一つ一つに凄いと感心しました。実際、今まで我が家で 聴いた、サブシステム用の音としては、最高でした。音の美しさなど、なかなか真似が出来ない ものです。

 しかし、First Watt J2は、それをいとも簡単にやってみせた上に、抜群の解像度をひけらすこともなく、 当たり前の音を当たり前に、「この楽器、そう言えば、こういう音だったよな」と、 実に自然に聴かせてくれるのです。しかも気品があり、さらにスピーカーがソナスファベールの メインシステムでは、男を喜ばせるツボを知り尽くした、小悪魔的な、とろけさせてくれる音まで聴かせてくれるのです。もちろん、スピーカーがソナスファベールのストラディヴァリだから成せる技、なのかも知れませんが。
 一見、大人しい物静かで真面目そうな小娘だと思ったら大間違い。
 脱がせてみたら、眩暈がするくらいの見事なプロポーションに加え、どこで覚えたか、 身も心もとろけさせる手練手管で、年甲斐もなく我を忘れて、この娘のためなら何でもしてあげたく なるような音、とでも申しましょうか。
 現実世界を、一瞬、忘れさせてくれるような、そんな音を奏でてくれます。

 メインアンプなのにボリュームの無いメインアンプのFirst Watt J2をダイレクトのKlimax DSに 繋ぐことが出来るのは、Klimax DSのソフトウエアがCara 9にupdateされたため、可変出力が 可能になったからです。
 それはともかく、この音を聴いた時、おそらくどなたでも考えることだと思いますが、 「メインのシステムで聴いたら、どんな音がするのだろう?」
First Watt J2の値段は\400,000。一方、Ayre MX-Rは\2,980,000円。誰が考えても、 Ayre MX-Rに軍配が上がるであろうと考えることでしょう。
 さらに懸念もあります。
 それは、出力は8Ω負荷で25Wですが、拙宅のソナスファベールのストラディヴァリは4Ωなので、通常は出力が増加するケースが多いのですが、素子にJ-FETを使用しているFirst Watt J2は、逆に出力が15Wに減少してしまうのです。92dBと、比較的高能率のスピーカーではありますが、15Wで駆動するとなると、さすがにパワー不足になるだろう、と。
 その懸念は、音が出た瞬間に吹き飛びました。
 Ayre MX-Rも透明感があって、空間描写能に優れた良いアンプですが、2階桟敷の遠くで聴いている 感じ。対して、First Watt J2は指揮者のちょっと後ろくらいで聴いている感じ。
 解像度が抜群で、オーケストラに少し顔を突っ込んで聴いているような錯覚を覚えます。それでいて 録音されている余韻も見事に再現してくれるので、同じオーケストラでもホールの違いで響きが 違ってくることを、これほど描き分けてくれるアンプはありません。
 低域も、高域も十分に伸びて、それでいて高域が耳障りになることもなく、低域もだぶついたり、 寸詰まりになることがありません。正直言って、驚きました。

 そしてさんざん考えた末、ソナスファベールに繋がるメインアンプを、Ayre MX-Rから交代することに決断したのです。
 もちろん、下取りに出してもお釣りが来る金額。そこで何をしたかと言うと、そのお金で新しい AETのEvidenceシリーズのケーブルを購入したのです。
 これがまたツボにはまって、粒立ちと解像度の抜群に良い音を奏でてくれるようになり、力感が 一層増して、15Wでも本当にパワー不足感の無い、クラシック音楽と女性ボーカルシステムが 出来上がりました。
 VIOLAのLegacyに挟まれ、真ん中にチョコンと小さくちんざしているのが、First Watt J2。  ま、Legacyがあまりにも大きすぎる、と言えば言えなくもないのですが。

 なお、ネルソン・パスのご尊顔を仰ぎたい方は、First WattWebをご覧下さい。
 まるで仙人のような、それでいてスケベそうなところは、E.A.R.のティム・デ・パラビッチーニ にそっくりです。音も真空管とFETの違いはありますが、たとえば、E.A.R.の859 Integrated Amplifier と、どことなく似通っているような気が、しないでもありません。



System1


パワーアンプが一台になり、しかもそれをスピーカーの前に持って行ったため、大幅なシステム変更が 成されました。
今まで左の電源コンセントの近くにあったラックが無くなり、代わりにDSやCD、電源部を段積みする ことになってしまいました。 AETのEvidenceシリーズを、ほぼ全面的に取り入れることによって、音の解像度、粒立ち等が格段に 増し、低域の寸詰まり感も解消しつつあります。
FrontEnd(Analogue):
 Analogue PlayerLINN LP12(ボード上)
 Cartridge光悦(Kouetu) 翡翠(JADE)
 Tone arm LINN EKOS SE
 Power supply:RADIKAL
Others:KEEL,TRAMPOLIN II

FrontEnd(Digital):
 DS Player:LINN Klimax DS(ラック上段下)
 CD Player:LINN CD12(写真左台上)

Phono Amplifier:URIKA(LP12 in Body)

Line Amplifier:AYRE KX-R (ラック中段)

Power Amplifier:First Watt J2

Loud SpeakersSonus Faber Stradivari Homage

AC Cables
 LINN LIGO:AET Evidence AC 1.2m
 LINN CD12:AET SIN 1.2m
 AYRE KX-R:AET Evidence AC 1.2m
 First Watt J2: AET Evidence AC 1.8m

InterConnect Cables
 LINN CD12 --> AYRE KX-R : AET SIN Evo RCA 1.2m
 AYRE KX-R --> AYRE MX-R : AET Evidence XLR 6.6m

Speaker Cables : AET Evodemce SP 2.7m

etc:
 Audio Rack : WAKATSUKI Audio table
 AC Outlet :WATTGATE Model 381


System2


右側の列の最下段以外の上3つが、JBL DD66000へ連なるシステムです。EMT927を中心に、ジャズを熱く鳴らします。ポイントはOCTAVEの真空管プリアンプを フォノ部のみ使用し、ライン部はVIOLA SOLOを使用していること。OCTAVEのプリはEMTとの相性が抜群で、EMTオリジナルのフォノ アンプよりも現代的に、スピード感あふれる鳴り方をします。これがトータルとしてOCTAVEのプリアンプを使用すると、低域は確かに 出ますが、少しモッタリとした感じになってしまいます。スピード感を保ちながら、切れ味、一本芯の通った音にするのが、この組み合わせ。 古いLPレコードが、信じられないくらい生き生きと鳴ってくれます。
もちろん、LINN Klimax DSも繋がっていますので、最新のデジタル録音によるCDも楽しむことが出来ます。
Klimax DSで鳴らすJBL DD66000は、VIOLA SOLOとAET Evidenceシリーズのケーブルが加わり、解像力と色彩感がさらに加わって、EMT927とはまったく別次元の音を奏でます。 EMT927を聴いたあとでKlimax DSを聴くと、別のスピーカーで聴いたかの様です。JBL DD66000は、それだけ適応力の広い、 現代的なスピーカーなのでしょう。しかし、EMT927の躍動感ある音も、また捨てがたいものです。

そうそう、書き忘れる所でした。ステップアップトランスTRIAD HS-1からOCTAVE HP500SEまでと、OCTAVE HP500SEのREC OUTからVIOLA SOLO までをAETのEvidence RCAに変更したところ、これまた抜群の解像度になって、とても古いEMTのプレーヤーとOrtofon SPU-Aとは思えない サウンドになってしまいました。力感もさることながら、透明感、粒立ちの良さも今までとは大違いで、ケーブル替えただけなのに、 プレーヤーまで最新のものに替えたかのような錯覚を覚えてしまいます。
FrontEnd(Analogue):
 Analogue Player : EMT 927F
 Cartridge : Ortofon SPU-A
 Tone arm : Ortofon RMA-297
 Power supply : Studiotechnik Dutch MULTICONVERTER DU937(写真左下から4台目)
 Stepup Trans. : TRIAD HS-1

FrontEnd(Digital):
 DS Player:LINN Klimax DS(ボード中列上段)

Pre Amplifier : OCTAVE HP500SE/SV(写真中段。フォノアンプとして使用)

Line Amplifier : VIOLA SOLO (写真上段)

Power Amplifier :VIOLA Legacy(JBL DD66000用。スピーカーと一緒に写っています)

Loud SpeakersJBL DD66000(内側のスピーカー)

AC Cables
 LINN CD12 : AET SIN 1.8m
 LINN LINGO : AET Evidence AC 1.2m
 OCTAVE HP500SE/SV : AET Evidence 1.8m
 VIOLA SOLO:AET Evidence AC 1.8m
 VIOLA Legacy:AET Evidence AC 1.8m

InterConnect Cables
 TRIAD HS-1 --> OCTAVE HP500SE/SV : AET Evidence RCA 1.2m
 OCTAVE HP500SE/SV --> VIOLA SOLO : AET Evidence RCA 1.0m
 VIOLA SOLO --> VIOLA Legacy : AET SIN Evo XLR 6.5m

Speaker Cables:AET Evidence SP 1.5m Bi-Wire


System3


ついに、B&W Sigunature Diamond用プリメインアンプが真空管のOCTAVE V80から、OVER model PM1に交代しました。
 もう、サブシステムなんて言わせない、そんな音になりました。
音が出た瞬間、アンプの値段やプリメインアンプであることも忘れて、「凄い!」と口にしてしまいました。
 とても25Wとは思えない瞬発力十分なドライブ能力と、深遠で清浄な色香と気品があり、そう、音に「品格」があるのです。
 高域も十分出ているし、ローエンドも素晴らしい伸びで、パンチ力もある。空間分解能も見事。でもそんなのは、とっくにクリアして、もう、別次元な「品格」のある音、なのです。
 本当に、これには参りました。
 しかし上には上があるもので、First Watt J2の奏でる音は、そのOVERの師匠格と言いましょうか、名人の域に達した音を聴かせてくれました。
 しかし、不思議なことに、サブシステムではスピーカーがB&Wでモニター的な現代的な音を奏でる こともあり、OVER model PM1の良い面を堪能出来る組み合わせのようで、メインシステムで聴かせる First Watt J2のゾクッとさせられる色気は、サブシステムのスピーカー、B&W Sigunature Diamond との組み合わせでは聴くことが出来ませんでした。
 そう言うわけで、First Watt J2はメインシステムに、B&W Sigunature DiamondにはOVER model PM1 の方が相性が良い様に思えます。

FrontEnd(Digital):
 DS Player:LINN Klimax DS(写真下段)

Premain Amplifier:OVER model PM1(写真台外左下)

Loud Speakers:B&W Sigunature Diamond

AC Cables
 LINN Klimax DS:AET SIN 1.8m
 OVER model PM1:AET SIN 1.8m

Speaker Cables:AET SIN(2.4m)



Last update Oct.24.2010