クラシック音楽
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ジョスカン・デ・プレ作曲「ミサ・パン・リングァ」
演奏:タリス・スコラーズ(Gimell CDGIM009)
これはルネッサンス音楽の記念碑的作品です。
ジョスカンは15世紀末から16世紀にかけて活躍した“音楽のダヴィンチ”と称されたフランドル楽派の代
表的人物です。タリス・スコラーズはイギリスを中心に活躍する団体で、この曲(Gimell CDGIM009)
に関しては解釈,響きの作り方など完璧なまでの出来ばえで他の追随を許しません。さすがのザ・ヒリヤー
ド・アンサンブルも、ことこの曲に関しては及ばないようです。
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「Ancient Airs and Dances」
演奏:Paul O'Dette(lute & guitar)(Hyperion CDA66228)
16世紀のリュート曲中心に集めた作品集です。これを元に管弦楽曲に書換えたのがレスピーギ(1879〜1936)
が“リュートのための古代舞曲とアリア”という一つの曲にまとめてしまいました。こちらの方は小沢征爾指揮ボ
ストン交響楽団の豪華絢爛な名演とイムジチ合奏団の鮮烈な演奏があります。個人的にはボストンの優雅でシンフ
ォニックな響きが好きです。
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コレッリ作曲「La Folia」
演奏:パーセル四重奏団(Hyperion CDA66226)
4人で演奏されるコレッリの小品を集めたディスクです。
何と言っても演奏・録音が素晴らしく、印象が薄い17世紀の作曲家ですが、この一枚で立派に秘蔵盤の仲間入り
です。
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クープラン作曲「モッテト集」
演奏:Feldman,Poulenardら(Harmonia mundi HMC901150)
教会音楽でその名をはせたクープラン(1668〜1733)。バッハ
があまりにも有名になりすぎて陰に隠れてしまっていますが、この曲をこの演奏で聴けば、きっと認識を新たに
することでしょう。
女性2人の実に美しく伸びやかな声で、身も心も洗われる思いがする演奏です。
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バッハ作曲「無伴奏チェロ組曲」
演奏:ヤーノシュ・シュタルケル(SEFEL RECORDS SE-CD 300A,B)
チェロの神様と言われたカザルスの後を受け継ぐのはこの人をおいて他にないシュタルケル。
かつては超絶技巧派として鳴らしましたが、年齢を重ねると共に円熟味が増し、風格のある演奏をするように
なりました。宗教曲のイメージが強いバッハ(1685〜1750)ですが、素晴らしい器楽曲を幾つも書いており、
聴き込めば聴き込むほど味わいがあります。
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テレマン&ビバルディ作曲
「リコーダーとバスーン、弦楽器の為の協奏曲」
演奏:Drottningholm Baroque Ensemble (BIS CD-271)
とにかく鮮やかで臨場感あふれる演奏&録音です。共にバッハとほとんど同じ18世紀前半に活躍、曲自体は大し
たことがなくてもこれだけ演奏・録音が良いと、立派に秘蔵盤として残ってしまいます。
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メシアン作曲「世の終わりのための四重奏曲」
演奏:ガヴリロフ(Vn),ダインツァー(cl),パルム(Vc),コンタルスキー(P)(EMI CE30-5096〜7)
慣れない人にはとってもついていけない現代音楽ですが、響きの美しさと深遠さはなかなか他では聴かれません。
メシアンというとトゥーランガリア交響曲が有名で、実際この演奏は付録として付いているに過ぎません。
しかし実際聴いてみると演奏の格がサイモンラトル指揮のトゥーランガリアとは較べものにならないほど上で,
どちらがメインか悩んでしまいます。
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「カルミナ・ブラーナ」
11世紀から13世紀のイタリアやドイツの学生、下級聖職者などの音楽を集めたものです。酒あり恋愛あり踊り
ありの、ちょっとインテリな人々の生活が実にあっけらかんと描かれていて、非常に興味深いものがあります。
演奏は堅実なところではピケット指揮ニュー・ロンドン・コンソート。
面白さではクレマンシック指揮のものがお奨めです。
また、この曲を元に現代風に大編成オーケストラとコーラス用にアレンジしたのがカール・オルフです。
小澤征爾が日本のアマチュアコーラスグループを引き連れ、ベルリンフィルと共演したものが評判ですが、欧米人
の太い体躯から発散される歓喜の声を表現するには、ちょっと物足りなさがあるようです。
その点ドラティ指揮ロイヤルフィルの演奏は、合唱の部分がパーッと盛り上がり、聴いていて心地よいものがあり
ます。
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ギョーム・ド・マショー作曲「ノートルダム・ミサ」
グレゴリオ聖歌が大成された9世紀頃から、二つ以上の異なった旋律を同時に重ねていく多声音楽が始まり、12世
紀から13世紀にかけてノートルダム楽派が席捲します。これに対して南フランスやドイツの騎士階級の吟遊詩人に
よるトゥルバドゥール歌曲、ミンネゼンガー歌曲などが発展。
その影響を受けたマショー(14世紀)の聖母マリアに捧げられたこの曲はデラー指揮デラーコンソート
(テイチク or ポリドール)で聴くと、ゾクッとするくらい色気があっていいんですね、これが。
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ギョーム・デユファイ作曲「世俗音楽全集」
フランドル出身で15世紀に活躍、中世期音楽を集大成し、ルネッサンス音楽へ橋渡しした、バッハに比肩する人物
です。ミサ・アヴェ・レジナ・チェロルムなどのミサ曲のほか、シャンソンを数多く作曲しました。
ロンドン中世アンサンブルによるこの演奏(ロンドン POCL-2055/60)は、この曲の面白さを見事に引き出していて
この曲が世俗音楽であることを再認識させられます。
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フォーレ作曲「レクイエム」
演奏:ミシェル=コルボ指揮ベルン交響楽団他
レクイエムと言うと、映画「アマデウス」で有名になったモーツアルトのレクイエムが有名ですが、あくまでも美し
く清らかな鎮魂曲と言う点で、個人的にはこちらの方が好きです。
演奏もクリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団の方が圧倒的に上手いのですが、純粋さという点ではボーイソプラノ
を使ったこの演奏の方に軍配が上がると思います。
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バルトーク作曲「弦楽器,打楽器とチェレスタのための音楽」
演奏:ヤーノシュ・ローラ指揮フランツ・リスト室内管弦楽団
神秘的でコワイ音楽です。それでいて、いったん耳にすると、
他の生半可な現代音楽が一気に色あせてしまうから不思議です。
ハンガリーに生まれ、民族音楽を基盤に新しい音楽を作り上げていったバルトーク。どこか我々日本人の血を揺さぶ
るものを持っているのではないでしょうか。
ブーレーズ盤も良いですが、本場ハンガリーの団体による、美しく緊張感あふれる演奏が聴きものです。
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ビバルディ作曲「リュート作品集」
演奏:ヤコブ・リンドバーグ(リュート)他
四季があまりにも有名なビバルディですが、こちらの方もなかなか趣があって、隠れたファンが大勢います。
演奏はあまり知られた方達ではありませんが、響きの作り方が巧く絶品です。
録音も大変素晴らしいものです。
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リムスキー・コルサコフ作曲「シェエラザード」
演奏:キリル・コンドラシン指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(PHILIPS 400 021-2)
アルバム・ジャケットの美しさにまず目を惹かれます。そして演奏の素晴らしさも、格別。
モスクワ放送響などで活躍していたコンドラシンはこの後、急逝してしまいます。何とも残念!
Herman Krebbersのヴァイオリン・ソロのこれまた美しいこと!
それまではアンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団が筆頭でしたが、このコンドラシン盤はマルタ・アルヘリッチ
のピアノによるチャイコフスキーのピアコンとともに、世に残る一枚となるでしょう。
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