日本酒に関する用語集 |
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松尾様
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代表的なお酒の神様。京都に松尾大社がある。他に三輪山にもお酒の神様が祭られている。
各地に松尾様が祭られている。
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杉玉
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新酒が出来ると、蔵は入り口に新しい杉玉を飾って知らせた。
新酒を扱うお店でも、杉玉を飾るところがある。
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宮水
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西宮の水、すなわち宮水。天保年間に山邑(やまむら)太左衛門によって発見された。
彼は灘の桜正宗の蔵元で、西宮と魚崎の二カ所に蔵を持っていたが、なぜか西宮の酒がいつも勝っていた。
杜氏を取り替えても結果は変わらない。
そこで、西宮の梅の木井戸の水を魚崎で使ってみたところ、西宮と同じ酒質のものが出来た。
以来、二斗樽に水を詰め、かれは牛車に引かせて魚崎まで運んだという。
酒に良い水は、着色と香味の妨げになる鉄やマンガンが少なく、麹菌と酵母の働きを活発にし、
醪での醗酵が十分に行われ、切れの良い酒を造るのに必要な無機質、リン、カリウム、マグネシウムが
豊富で、酒母や醪、麹から酵素の抽出を助け、強い酵素力を持たせるカルシウムやクロールが豊富である事
が条件。ちなみに酒造用の水の鉄分は、水道水で0.3ppm以下。酒造用水では0.02ppm以下。宮水は0.005ppmと
非常に低い値を示している。
宮水で仕込むと湧きが強く、辛口で出来たては荒々しいが、時が経つにつれて丸みが出、暑い夏を越しても
味が落ちず、秋になって旨くなる、秋上がりの酒、秋晴れのする酒と言われている。
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付け香(つけが)・着香(ちゃっこう)・やこまん
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醪の時によく発散する吟醸香(ぎんじょうこう)を抽出し、出来た酒に混ぜる。こうして付けられた香りは、
栓を開けたときは良く薫るが、1週間もすると抜けてしまうう。
口に含んだ時には良く発散するが、かすかにセルロイドのような異臭が付くので、慣れると見分けがつくようになる。
マイナス5℃前後で吟醸香を持った気体を冷やすと液体になる。
火入れ前後で添加することによって付け香を行う。
この方法を開発したのは、醸造試験所の3人の学者で、その頭文字をとって「やこまん」とも言う。
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桶買い
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20万石以上もの石数を誇る灘や伏見の大手酒造メーカーは、全国の零細酒造メーカーに造らせ、
それをかき集めてタンクに入れ、自社銘柄として販売した。
近年大手メーカーは機械化し、それまで行っていた桶買いを止めたため、桶買いでもっていた
地方の零細酒造メーカーは、倒産が相次いでいる。
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日本酒度
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酒の比重を表したもの。酒の甘さ、辛さだけでなく、醪(もろみ)の醗酵状態を知るための指標となる。
仕込んだばかりの醪は糖分が多いので、比重も大きく、マイナスを示す。
醗酵が進み、酵母が糖を消費すると日本酒度はプラスになり、アルコールも増える。
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酒造好適米
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大粒で、心白(でんぷんが不規則に集まっている中心部の不透明な部分)が大きいものが良いとされる。
戦前までは新潟を中心に各地でみられた亀の尾(新潟の亀の翁)、現代では山田錦(酔鯨、YK-35など)、
美山錦(浜千鳥など)、五百万石(朝日山など)、雄町(おまち:酒一筋の赤磐雄町が有名)、オオセト(綾菊)、
八反錦(賀茂鶴)、北錦などがある。
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山田錦
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酒造好適米の一つ。1メートルを越す長稈(ちょうかん)、
大粒の籾。千粒重27g。蛋白や脂肪が少ない。
大吟醸の8割がこれで造られていると言われている。
明治末年から定評のあった大粒の「山田穂」を母、丈夫で短稈(タンカン)で心白の多い「短稈渡船」を
父親として人工交配を行い、大正12年から試験栽培。昭和11年、兵庫県の酒米の奨励品種となり、
「山田錦」と命名された。
寒冷地での栽培は難しいくせに、昼夜の温度差があって(特に出穂期に15℃以上の寒暖の差が欲しい)、
棚田のような山麓地帯に育つ。主に兵庫県、福岡 県で栽培される。
生産量は昭和62年度で9,000トン(15万俵)、酒造場からの申込は13,500トンにも達し、
66.9%しか充足できていない。
これを使用した銘酒としては、真澄の夢殿、酔鯨、北雪(YK-35)などがある。
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赤磐雄町
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嘉永4年、高島村雄町の岸本甚造が大山参拝の帰路、偶然に珍しい品種の米を発見、これを持ち帰って
栽培したのが始まり。
赤磐郡をはじめ、当地一帯で栽培されたためにこの名がある。
明治の末から大正、昭和にかけて一世を風靡したが、農業の近代化と共に、栽培面積が減少してしまったので
「幻の米」と言われている。
現在、この米を復活させ、酒造米として再び使用しているメーカー(酒一筋など)がある。
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亀の尾
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明治26年、庄内地方の篤農家、阿部亀治が発見、育成した米。
「不世出の名品種」と謳われ、大正から戦前まで東北・中部地方全域で栽培され、
作付面積も最大を誇り、食用として旨い米の代表と言われていた。
しかし良い酒米の常として穂が重く、茎が長いため倒伏しやすく、虫害に弱かったため廃れ、
これを改良したササニシキやコシヒカリに取って代わった。酒造好適米としても重宝され、
五百万石の祖先でもある。
しかし、「清泉」の蔵元、久須美酒造専務、久須美記廸(くすみ のりみち)氏が地元新潟県寺泊の
野積杜氏の長老、河合清さんが「昔、亀の尾で仕込んだ吟醸ほど見事な酒は、後にも先にもなかった」
と述懐したのを聴いて、幻の銘酒の種子を昭和55年農林試験場に捜し求め、1,500粒の種籾を自ら蔵の
側の小島谷の田に撒き、3年後現代に復活させた。
→コミック「夏子の酒」参照
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千粒重(せんりゅうじゅう)
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千粒の米の重量。山田錦は27g。通常米は多くて24g前後。
千粒の種籾で約18坪分の苗が出来る。そこから約22kgの収穫が得られる。
1反の田を埋めるのに必要な種籾は、およそ3kg。
ちなみに、一俵は60kg。
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協会酵母
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醸造試験所で試験を繰り返し、優良と認められた酵母が日本酒造協会を通して
「協会酵母」として全国の酒造家に配布された。
第一号は明治39年。以後平成元年現在、13の協会酵母があり、頒布されているのは
6号から13号まで8種類。
平成元年の時点で、協会供給酵母の占める割合は4%。
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1)
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協会3号酵母
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広島県三原市の「酔心」の新酒から大正3年に分離された。
この酵母により酔心は大正8、10、13年に最優秀賞を受賞している。
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協会6号酵母
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秋田県の「新政」の新酒から昭和5年、大蔵省醸造試験場技師小穴富司雄
により分離、昭和10年より頒布開始された。
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3)
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協会7号酵母
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諏訪の「真澄」から昭和21年、大蔵省醸造試験所の山田正一、塚原寅次技師らが分離。
平成元年の時点で、協会供給酵母の65%を占める。
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協会9号酵母
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大正7年、熊本税務監督局鑑定部長の野白金一氏の為に熊本県下の酒造家が共同出資して
設立した「熊本県酒造研究所」の香露より昭和28分離、登録された。
吟醸酒における使用率が83%にも達する、鑑評会用として欠かせない酵母。
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5)
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協会10号酵母
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仙台国税局鑑定官室長の故・小川知可良氏により集められた東北地方の吟醸醪
(青森県八戸の八鶴酒造が元か?)から純粋分離されたもの。
低温長期型の醪造りで威力を発揮し、酸度の少ない、きめ細かな香気を醸し出す。
氏は退官後、水戸の明利酒造株式会社の社長となって昭和33年頃から使われ始めたので
明利酵母とも言われ、昭和52年に登録頒布されるようになった。
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協会11号酵母
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7号酵母の中から選ばれたアルコール耐性酵母。
普通、清酒酵母はアルコール度数18度以上で死滅率が上昇、
アミノ酸量が増加するが、この酵母は20度以上でも死滅率が低い。
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7)
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協会12号酵母
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宮城県塩釜市の浦霞から分離・培養され、頒布されている。
名杜氏・平野左五郎氏とその甥の平野重一氏による吟醸蔵として有名。
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協会13号酵母
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協会9号酵母と10号酵母を交配させて作り出された、9号と10号の特徴を併せ持つ酵母。
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9)
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泡無し酵母
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高泡が立たず、一つのタンクでの仕込量が増えることから、愛用されている酵母。
協会6、9、10号酵母から分離され、それぞれ601、901、1001号として頒布されている。
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10)
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秋田流・花酵母
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秋田県醸造試験場と秋田県の清酒メーカーが共同開発した、香気豊かな新しい酵母。
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